市場が成熟した後は顧客の取り合い。どれだけ顧客を逃がさないか。

新規顧客と既存顧客

市場が成熟すると新規顧客を獲得するのは費用対効果が悪くなり、既存顧客にアプローチする顧客維持型マーケティングが主流となる。

F・ライクヘルドらは、既存顧客から得る利益の種類は以下の5つとしている。

▷基礎利益

・・・通常の購買行為

▷購買・残高増利益

・・・満足度の高い顧客は年数を重ねるごとに購入頻度が高くなる

▷営業費削減利益

・・・新規顧客にアプローチするよりも営業コストが減るため利益になる。

▷紹介利益

・・・口コミなど。医者や弁護士、コンサルなどでは特に重要

▷価格プレミアム利益

・・・顧客との信頼関係により、高価なものが売りやすくなる。

顧客維持の代表的な手法

顧客維持戦略の代表的な手法としてOne to One Marketingがある。リレーションシップマーケティングとも呼ばれ、顧客との長期的な関係を維持して収益率を高める手法。

重要なのは「顧客ロイヤリティ」

情報、信頼性、高品質、親しみやすさ、低価格、利便さ、などを膨大なデータから発見することが重要。

顧客の囲い込み、つまり解約防止を行い顧客生涯価値を最大化することがデータベースマーケティングの究極的なテーマである。

顧客が自社から離れる場合には必ず理由がある。価格、品揃え、店員の態度、店の雰囲気など。

現在はテレビ、雑誌、ネットがマーケットの中心なので、コンピュータに眠っているデータをどれだけ活用できるかが勝負。

データマイニング

データベースマーケティングには顧客を知る力が求められている。

データベースマーケティングに必要な技術としてデータウェアハウス(蓄積)とデータマイニング(分析)がある。顧客を知るために重要なのは分析。

データマイニングは膨大なデータの関連性から意味ある仮説を導き出す技術である。

次に買うものの予測や、次に解約しそうな会員の予測ができる。

データマイニングは人間のカンから、科学的な段階に移行した。

なぜデータマイニングが求められているのか。

現代は顧客の量が膨大だから。全国チェーンの店舗は各々に手紙を送ることはできない。現在は顧客の顔が見えない時代だからデータマイニングを用いて顧客の行動パターンを読み取ることが必要。

組み合わせの爆発

経験則とカンで仮説を立てる仮説検証経営は限界を迎えている。

なぜなら見えない顧客のデータから利益につながる法則を見つけるには天文学的なパターンの検証が必要となるから。

通信業でいうと通話記録データは数兆件を超える。顧客、商品、販売方法で、組み合わせの爆発が起こっている。

誰もがわかるようなアイデアはもはや差別化できないし、経験やカンが養われた頃には顧客ニーズは変わっている。

よってデータマイニングの活用は必須事項。

簡単な分析はUNIXのデータウェアハウスからデータを抽出してWindows NTさーなーで稼働するマイニングツールを用いてできる。

顧客の行動パターンは担当者ではなくデータに聞くべき。

データマイニングを成功させる「立案力」「組織力

高い精度の仮説を提供してくれるデータマイニングツールを導入するだけで業績はすぐに向上しない。

データマイニングはあくまで法則を見つけ出すものであり、業績は企業が法則から導き出した施策に付随するものだから。

データマイニングを活用する上で重要なのは分析結果に対する立案力と、組織力である。興味深い分析結果が出てもアクションを起こさないと意味がない。

仮説検証サイクル

データマイニングを用いて行った対応策の結果をもとに、2度目の仮説検証サイクルを回すことを「仮説検証サイクルへの定着化」という。データマイニングの方法論として「SEMMAモデル」が存在する。

実施プロセスをデータ抽出、探索、加工、モデル化、評価の5ステップに分けることで標準化を行う。

 

詳しくは以下の書籍にて。