購買データから見えてくる、商品が売れる法則

データマイニングを用いて得られた購入履歴の無数の組み合わせから、利益をもたらすルールを見極めることが重要。

アップセルとクロスセル

アップセルとは既存顧客により高価な商品への移行を促す営業活動。クロスセルは関連する商品を売る手法。

顧客を奪い合う現在の企業では新規顧客よりも重要なマーケティング戦略となっている。新しい顧客を高コストで獲得するよりも、すでに関係を持つ顧客との関係をより太く、長くする方が効率がいい。

POSデータによるマイニング

POSデータによるマイニングでは、リフト値、支持度、信頼度が重要となる。これらを組み合わせることで感覚的に立案していた仮説を自動的に取得できる。

信頼度が高いとよくある組み合わせ、支持度が高いと全顧客に対するインパクトが高い。リフト値が高いと組み合わせで購入されることが多いことがわかる。

分析結果の解釈

リフト値が高いことを前提とし、信頼度と支持度を軸にすると4種類のパターンができる。信頼度も支持度も低い組み合わせは併用する顧客が少なくマーケティング的にはニッチな領域。信頼度も支持度も大きい組み合わせは同時購入において買い尽くされている組み合わせと考えられる。

信頼度が高く支持度が低いものは販売数は少ないが、同時に購入される可能性が高いもの。

信頼度が低く支持度が高いものは購入頻度がそれぞれ高いが、同時購入はそれほどない組み合わせ。この層には潜在的に同時購入してくれる人が多いため隣に陳列するなどすれば効果が出る。

顧客の意思を掴む

アソシエーションは集計値にすぎない。当たり前のルールも導かれるため、結果のみでは何の利益にもならない。顧客の意思を考えるきっかけを与えてくれるもの。

なので、無数のルールから意味のあるものを識別して、優先順位をつけるノウハウが重要になる。3つの指標を理解してルールの識別ができるのがマーケター。

商品分類コードと分析データの仕切り

商品分類コードは適切な名寄せが必要。単品名では手の内ようがない。シャンプー、もしくはバス用品というカテゴリに分類する。

商品区分がその後の戦略を決める。分類の仕方によって、結果の解釈も変わってくるから。体系的に分類するためには仕入れの視点だけでなくマーケターの分析が非常に重要となる。制汗剤は化粧品か、医薬品か、それともエチケット商品化。など。

データにノイズを入れない

意味のある組み合わせを発見するためにはノイズが入らないようにデータを仕切る必要がある。流行物を他の商品と同列で考えるのはノイズが入る。

曜日や時間帯で客層が変わる店舗はそれぞれで分析を行う必要がある。

相関に影響を与える外部要因はデータを分けて、できるだけ排除する。

利益を上げるためには。

結局、できるだけ情報の多いデータを収集し、分析を行い素早く反映させる。その後再評価を行うというプロセスを作ることが最重要。

詳しくは以下の書籍にて。 

 

 

データマイニングとは、ルールを見つけるもの。

データマイニングの定義

データマイニングは多様な方法で実施される。「例えば回帰分析やクラスター分析を駆使した多変量解析の一種がデータマイニングである」という人もいれば、「データウェアハウスにおけるシステムコンポーネントの1つ」と言う人もいる。

使用者の立場によりデータマイニングの定義は変わるため、上記のように多くの解釈が存在する。

共通認識としては「意味のあるパターン、ルールを発見するために膨大なデータを自動もしくは半自動で分析し探索すること」と考えられている。

データマイニングする上で重要なことは、データの整理、整備したデータの探索手段、手に入れたデータを活用する組織力である。

「データ」「ツール」「人」を総合的に考えることがデータマイニングである。

「経験者」から「データ」の時代。

データマイニングツールとは情報を提供するといったレベルではなく、意思決定のルールとなる「仮説そのもの」の生成を行うツールである。

担当者が集計結果を主観的に解釈することに対して、データマイニングツールはデータ全てから客観的に法則を導き出す。

データマイニングでは、インプットするデータの質が重要になる。問題の特定はデータが語る事実から自動的に導かれるから。

データウェアハウス

データマイニングの出現はデータウェアハウスの構築と関係がある。

70年代より企業はコンピュータによりデータ収集を行う環境を整えてきた。しかし、データをどのように保存するべきか考える企業は多くなかった。つまり、保存データは人のカンによって洗濯され、長期保存されることはなかった。

90年代になり大容量のデータを保存できるようになると、効率よく保存できる倉庫、つまりデータウェアハウスの構築が注目された。

データウェアハウスの登場により蓄積される大容量データからビジネスに役立つ情報を見つけるデータマイニングの概念が生まれた。

データマイニングと統計解析

データマイニングと統計解析は別物である。

統計解析が「仮説の証明」を目的としているのに対してデータマイニングは「問題の特定」を目的としている。

統計解析は「仮説ありき」で、データマイニングは「データありき」である。

データマイニングの手法

データマイニングの手法は50種類以上存在する。代表的なものは決定木、回帰分析、テキストマイニングなど。統計解析から発生したものや、データマイニング独自の分析手法が存在する。

詳しくは以下の書籍にて。  

 

市場が成熟した後は顧客の取り合い。どれだけ顧客を逃がさないか。

新規顧客と既存顧客

市場が成熟すると新規顧客を獲得するのは費用対効果が悪くなり、既存顧客にアプローチする顧客維持型マーケティングが主流となる。

F・ライクヘルドらは、既存顧客から得る利益の種類は以下の5つとしている。

▷基礎利益

・・・通常の購買行為

▷購買・残高増利益

・・・満足度の高い顧客は年数を重ねるごとに購入頻度が高くなる

▷営業費削減利益

・・・新規顧客にアプローチするよりも営業コストが減るため利益になる。

▷紹介利益

・・・口コミなど。医者や弁護士、コンサルなどでは特に重要

▷価格プレミアム利益

・・・顧客との信頼関係により、高価なものが売りやすくなる。

顧客維持の代表的な手法

顧客維持戦略の代表的な手法としてOne to One Marketingがある。リレーションシップマーケティングとも呼ばれ、顧客との長期的な関係を維持して収益率を高める手法。

重要なのは「顧客ロイヤリティ」

情報、信頼性、高品質、親しみやすさ、低価格、利便さ、などを膨大なデータから発見することが重要。

顧客の囲い込み、つまり解約防止を行い顧客生涯価値を最大化することがデータベースマーケティングの究極的なテーマである。

顧客が自社から離れる場合には必ず理由がある。価格、品揃え、店員の態度、店の雰囲気など。

現在はテレビ、雑誌、ネットがマーケットの中心なので、コンピュータに眠っているデータをどれだけ活用できるかが勝負。

データマイニング

データベースマーケティングには顧客を知る力が求められている。

データベースマーケティングに必要な技術としてデータウェアハウス(蓄積)とデータマイニング(分析)がある。顧客を知るために重要なのは分析。

データマイニングは膨大なデータの関連性から意味ある仮説を導き出す技術である。

次に買うものの予測や、次に解約しそうな会員の予測ができる。

データマイニングは人間のカンから、科学的な段階に移行した。

なぜデータマイニングが求められているのか。

現代は顧客の量が膨大だから。全国チェーンの店舗は各々に手紙を送ることはできない。現在は顧客の顔が見えない時代だからデータマイニングを用いて顧客の行動パターンを読み取ることが必要。

組み合わせの爆発

経験則とカンで仮説を立てる仮説検証経営は限界を迎えている。

なぜなら見えない顧客のデータから利益につながる法則を見つけるには天文学的なパターンの検証が必要となるから。

通信業でいうと通話記録データは数兆件を超える。顧客、商品、販売方法で、組み合わせの爆発が起こっている。

誰もがわかるようなアイデアはもはや差別化できないし、経験やカンが養われた頃には顧客ニーズは変わっている。

よってデータマイニングの活用は必須事項。

簡単な分析はUNIXのデータウェアハウスからデータを抽出してWindows NTさーなーで稼働するマイニングツールを用いてできる。

顧客の行動パターンは担当者ではなくデータに聞くべき。

データマイニングを成功させる「立案力」「組織力

高い精度の仮説を提供してくれるデータマイニングツールを導入するだけで業績はすぐに向上しない。

データマイニングはあくまで法則を見つけ出すものであり、業績は企業が法則から導き出した施策に付随するものだから。

データマイニングを活用する上で重要なのは分析結果に対する立案力と、組織力である。興味深い分析結果が出てもアクションを起こさないと意味がない。

仮説検証サイクル

データマイニングを用いて行った対応策の結果をもとに、2度目の仮説検証サイクルを回すことを「仮説検証サイクルへの定着化」という。データマイニングの方法論として「SEMMAモデル」が存在する。

実施プロセスをデータ抽出、探索、加工、モデル化、評価の5ステップに分けることで標準化を行う。

 

詳しくは以下の書籍にて。